これもよくある相談の一つである。例えば、練習問題集の中で自分が間違えた文法の問題をリストアップし、その説明を支援スタッフに求めるのである。問題の量も学習者によって異なるが、1問2問もあれば、20問ほどもってくる場合もある。
学習者のニーズに対して、最初から最後まで説明し、答えを与えることは不可能なわけではない。また、そのような対応は、学習者にとっては「疑問が解消できた」という達成感を与えるに違いない。が、アドバイジングにおいては、スタッフから一方的に「教える」ことはしないように心がけている。一時的な対応にとどまることなく、学習者の自律的な学習のための対応が必要なのである。
それでは、どのような対応ができるのか。
まずは、持ってきた文法項目の中で一番難しかったものを選んでもらい、それを中心に対応セッションを進めていくことができる。どの部分が難しいのか、なぜ間違えたと思うのかなどの質問をし、その文法についての学習者の考えをうかがう。さらに、どの授業で扱った文法なのか、分からない時にはどのように調べるのか、間違えた理由を自分で考えてみたのか、学習者の背景や学習方法の確認を行う。それから、文法表現に関するリソースをいくつか提供し調べ方を一緒に確認したり、学習ストラテジーについてアドバイスをする。
以上のように、一つの文法について集中的にアドバイスすることにより、よく分からない文法項目がある場合、どのように調べればいいかなどについての認識は得られるのである。
次に、もう一つの文法を選んでもらい、学習者が自分自身で調べてみるよう促す。その文法項目の理解ができたら、自分で調べてみてどうだったのか、前と比べて何がよくなったのか等振り返りをしてもらう。
以上、あくまでも対応方法の一つの例にすぎないが、重要なのは、学習者が持ってきた文法項目について一方的に答えを与えるのではなく、また同じ問題に直面したしたとく学習者が自分自身で調べられ、考えることができる方法に導くことである。