作文やプリントなどの宿題を終わらせたら、振り返ってチェックもせずそのまま提出する、いわゆる「やりっぱなし」というような学習者は少なくなかろう。そのような学習者に対し、課題の提出だけを目標にするのではなく、いろいろな手段で自分の学習を自律的に振り返るという学習習慣を意識化させることは大事だと思われる。その際に、ネットは利用しやすく内容な豊富なリソースである。
たとえば、ある英語圏出身の初級学習者は作文のことでスタッフと検討している。学習者は「自分のお金をプロの人に預けて管理してもらう」というような文を考えており、英語の「financial adviser」という単語を使おうとした。しかし、その単語は日本語にあるかどうか、日本語で使われている意味は自分の書きたいことと合っているかどうかについて、考えていなかったようだ。そこでスタッフは、自分の主観に委ねるより、ネット検索によって確かめたほうがよいではないと提案した。その後、一緒にグーグルの検索エンジンを使い、「ファイナンシャルアドバイザー」で検索をかけてみた。検索にヒットし、その意味も自分の言いたい意味と一致していると学習者は確認した。
このようにネット検索などの手段で自分の出した答えをチェックすることは、正確さを追究する意味はもちろんある。その上、答えを出すことにとどまらず、自律的に振り返りをするという学習習慣の形成につながるのではないだろうか。